若者の未来を広げるセブでの10日間 グローバルパートナーズの「真に世界で活躍できる人材」を育む事業に迫る

グリーン

written by 紺野天地

「若者と企業と世界をつなぐ」を掲げるグローバルパートナーズ株式会社(以下、GP)は、グローバル人材事業や海外進出支援事業をはじめ、多くのグローバルビジネスを展開しています。

フィリピンのセブ島からインタビューに応じてくださったのは、海外教育事業を担当する関根侑希(せきね・ゆうき)さん。今回の取材におけるメインテーマは、彼女が責任者を務める学生向けビジネスキャンプ「Global Business Mind Camp In Cebu(以下、GBMC)」です。

日本との距離を感じさせないほどの明るさで、若者たちの未来を育むこのプログラムについて語っていただきました。

関根侑希(せきね・ゆうき)さん

関根侑希(せきね・ゆうき)さん

大学卒業後、当時東証1部上場のコンサルティング会社に新卒入社。その後セブに移住し、語学学校のマネージャーやBPO(※)事業の立ち上げを経て、GPの山本社長に出会う。双方の思いの合致により、現在はGPと共に海外教育事業を進めている。
※ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、業務プロセスを一括委託すること

グローバル人材に必要なのは「自分プレゼンテーション」

―――はじめに、「Global Business Mind Camp In Cebu」の概要について教えてください。

一言でいうと、「自己を探求して、自分についてプレゼンテーションができるようになる」能力を開発するプログラムです。日本では、協調性のある方が多い一方で、「私はこんな人です」と自分を売り込める方は少ないですよね。

それができれば、外国との壁がなくなって、世界中に仲間ができると思うんですよ。このプログラムの最終的な狙いは、「出会いに強くなる」ことです。

 

―――自分をプレゼンテーションできることが、「世界で活躍できる人材」になるための土台になるとお考えなのですね。

そうです。英語が話せても、他国の文化に詳しくても、ビジネスの知識が豊富でも、「自分」を表現できないと、相手とつながることはできない。これって万国共通じゃないですか。

「私はこういう人間です」「こんな強みがあります」「こんなことに心が動きます」「こんな社会をつくりたいんです」「こんなビジネスをしたいんです」。そうやって自分を表現できることが、グローバルに活躍するための根っこに必要だと思います。そのためには、まず自分のことを深く知って、言葉で伝える力が大切だと考えました。

 

―――自分をプレゼンテーションできるようになるためには、どのような経験が必要なのでしょうか?

「自立」だと考えています。

自ら行動して「成功体験をする」ことで、初めて自分の可能性に気が付くと思うんです。例えば、修学旅行で海外に行くのと、自分一人で飛行機に乗って海外に行くのとでは、経験から得る自信の大きさは違うはずです。

この事業を構想したとき、「関根さん、日本の高校生は一人で海外に行けませんよ」と言われることもあったのですが、絶対にそんなことはないんです!ゲートをくぐって、席に座って、シートベルトを締めるだけですから。

 

―――今回のビジネスキャンプは、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

山本社長との出会いがきっかけです。私は2018年ごろからセブに住んでいて、当時は語学学校のマネージャーをしていました。ただ、日系企業だったこともあり、コロナ禍で完全撤退してしまったんです……。直後に現地でBPO事業を立ち上げたのですが、うまくいかなくて、悩んでいる時期に社長と出会いました。

事業を始める大きなきっかけは、社長からの言葉ですね。「関根さんは表現したり喋ったりする仕事が向いているよ。一緒に教育事業を始めましょう」と言ってくださったことです。

 

貧困や島の生活に触れ、心を動かす若者たち

―――ここからは、プロジェクトについて深掘りさせていただきます。まずは概要について教えてください。

プログラムの日数は、到着・帰国を含め10日間。宿泊施設は、現地のリゾートホテルです。

ざっくり全体の流れを言うと、前半はフィリピンの市内や貧困地域、離島などをまわりながら多様な生活に触れます。スラム街の生活を初めて見て衝撃を受けたり、ハートフルな離島生活にワクワクしたり、心が動かされるポイントは人それぞれです。

後半では、前半で得た気付きや目の当たりにした社会問題を元に、自分自身を探求していきます。まずは、社会問題へのソリューションを提案する、チーム対抗のビジネスコンテストです。後で詳しくお話ししますが、制限時間がある中「チーム」で行うことに狙いがあったり。

その後は自己分析プログラム。個人で内観する作業より、仲間から「良い所」をたくさん、たくさん見つけてもらう「他己分析」がメインです。

最終日に「成果発表会」の場も設けていて、一人ひとりが自分を「英語で」プレゼンテーションして、現地の方々に聞いていただくんです。

【実際の行程表】

 

―――スケジュールに沿って具体的に伺っていきますね。2日目の「自己分析プログラム」から3日目の「貧困地域訪問」までは、どのようなことをするのでしょうか?

2日目の「自己分析プログラム」では、事前に準備してもらう「自分の歴史」を元に、「小学生のころは●●が好きだった」「中学2年生のころ●●に感動した」のように、過去を振り返りながら、今の自分について整理します。

その日の午後は「市内ローカルめぐり」です。市内を探検しながら地域のお土産屋さんで値段交渉にチャレンジしたり、フィリピンの実生活に触れていきます。比較的物静かな男の子がとても上手に交渉していて、意外な才能が垣間見える瞬間に驚きました。

続いて「貧困地域訪問」では、JTBセブ営業所の主催で、二つのスラム街を回ります。日本にいたら絶対目の当たりにできない本当の「貧困」を見て、社会のリアルを肌で感じてもらうことが目的です。

 

―――4日目の「カオハガン島訪問」は、冒険心がくすぐられるようなプログラムですね。

まさに「冒険」の一日です!カオハガン島は、人口が約700人、1周30分ほどの小さな島で、電気や水道も整備されていません。

まずは、大海原の中、ボートでカオハガン島に向かい、島の日本人オーナーが経営する施設にいきます。荷物を置いたら、すぐに3時間のホームビジット※。「●●さんは▲▲さんの家を見つけてくださいね!」とだけ個別に伝えます。みんな手探りで島民にインタビューしながら、「私の家はどこだろう?」と訪問先の家庭を探すんです。
※海外の日常生活を見て異文化理解を深める、宿泊を伴わない交流のこと

自分の家を見つけたら、続いてその家のお手伝いです。料理をしたり洗濯をしたり、皿洗いをしたり、住民とコミュニケーションを取りながら現地の生活を経験し、価値観の違いや島の課題について考えます。もちろん、島の大自然も堪能してもらいますよ(笑)

 

さまざまな職業の外国人を前に英語で「自分」を伝える

―――5日目の「チームプレゼンテーション」では、何を発表するのでしょうか?

ここまでの体験を通して気付いたことや感じたこと、目の当たりにした社会問題に対し、自分たちが提供できるソリューションをチームごとに考えます。

朝9時から始まって、プレゼンテーションは16時から。つまり、わずか7時間でテーマを決めて、解決策を考えて、プレゼンテーションに向けた資料づくりや練習までするんです。大人でも簡単ではありませんよね。

 

―――個人ではなくチームで行う理由は?

実は、そこがポイントなんです。チームの中で何かしらの役割を担うことで、自分の特技や適性に気が付いてほしいんですよ。例えば、「僕はみんなの意見をまとめるのが得意だ!」「私はリーダーに向いているかも!」のように。
各々が自分の役割を見つけ、チームが一つにまとまっていった結果、大人顔負けのハイレベルなプレゼンテーションになりました。

 

―――続いて、6日目の「自己分析プログラム」から7日目の「自分プレゼンテーション発表」について教えてください。

この日からは、本格的な自己探求です。まずは、当社が用意した自己分析プログラムを用いて、自分の強みや興味のあることなどを追及しながら、解決したい社会問題を考えます。

7日目は、「ジョハリの窓」を応用した他己分析プログラムで、仲間からフィードバックをもらいながら「自覚していなかったものの、仲間から見られている自分」を整理します。「自分にはこんなにたくさん良いところがあったんだ!」と、みんな驚きますね。その後は「自分プレゼンテーション」の原稿を一度日本語でまとめて発表し、それを英語にします。

 

―――8日目の「語学研修」では、最終日の成果発表会に向けた準備をするわけですね。

はい、セブ最大手の語学学校である「IDEA」の先生から、前日に作った原稿をプレゼンテーションするための講習を受けます。

英語で相手に気持ちを伝えるには、ジェスチャーや声の抑揚が大事なんですよ。そういったテクニックも含め、「英語で自分を伝える」ことについて集中的に学んでもらいます。

 

―――最後はいよいよ「成果発表会」ですね。

いよいよです。ホテル内に準備した会場で、フィリピン人ゲストに向けて自分をプレゼンテーションします。ゲストは学生や大学教授、パイロット、マーケターなど、多種多様な方がいらっしゃるんです。発表後には、フィードバックを一言いただきます。

それが終わったら、「全力遊び」の名のとおり、みんなでとにかく遊びます。セブというリゾート地にはいるものの、この瞬間までプログラムでパンパンですから、唯一思いっきり羽を伸ばせる時間です。

 

最終日には涙で抱き合う姿も

―――学生たちの様子を間近で見ていて、どのような気持ちを抱かれましたか?

毎日のように成長する姿に、感動しっぱなしです。普段は経験できない物事に触れ、考え方が変わり、それが言葉づかいや行動に表れていく。そんな様子を見て、「人は自分に自信を持つと、短期間でこんなに変わるんだ」と、私自身も気付かされますね。

例えば、過去のつらい経験から初日に身構えていた大学生の男の子が、年下の子たちに頼りにされる中で、人の役に立つことに喜びを覚えたようで。「インターンとしてこのプログラムの運営に関わって、学生のサポートをしたい」と言ってくれたり。

 

―――グローバル人材としての能力を身に付けられるだけでなく、「仲間ができる」という大きな副産物も得られそうですね。

はい。ひとつエピソードを紹介させてください。

最終日に、午前5時の便で帰国する子が2人いて、午前2時にホテルのロビーに集合にしていたんです。普段の消灯は午後11時できっちり守っているのですが、その日はみんなが私のところへ来て、「今日だけは2時まで一緒にいさせてください」って。

私、普段はかなりルールに厳しいのですが、そのときだけは認めましたね。みんなは2時まで一緒に過ごし、最後は泣きながら抱き合っていました。

 

―――そんな姿は、「出会いに強くなる」という狙いを体現しているようにも思います。

そうだと嬉しいですね。後半になると「まだみんなと一緒にいたい」と涙を浮かべる子もいました。きっとこの子は、これからの人生で出会いに期待し、出会いから生まれる可能性に希望を持って生きていくんだろうなと感じました。世界中どこに行っても、ひとつの出会いから、「親友になれるかもしれない」「一緒にビジネスができるかもしれない」とワクワクしてくれると思います。

出会いに希望を持ち、人を信じることができる。これは、人生を楽しむために大切なポイントだと思うんです。

 

―――今後もこの事業を展開される予定でしょうか。

はい、この事業はこれから本格的に走らせます。子どもたちや親御さん、教育業界に関わる方々をはじめ、広くこの事業を届けたいんです。そうして、学生の未来を広げるための輪を、大きくしていけたらと思います。

 

参加した学生たちの声を一部抜粋してお届けします。

【参加者の声 高校2年女子(16歳)】

今まで、海外に目を向けていなかったが、一人で海外に渡航できた達成感と経験から、「海外って楽しいんだな」と思い、視野が広がった。
進路選択において、留学プログラムがある大学への進学を考えている。また、同時に自分に自信が持てるようになった。
今までは「自分にはちょっと難しいかな」とハードルを感じて挑戦していなかったことも、積極的に挑戦できるようになった。
 

【参加者の声 大学1年(19歳)男子学生】

GBMCに参加し、自分の事を良く知れたことが良かったが、一番は、自分に自信がついた事が良かった。 今までは発言する時や行動するときに、自信がないと行動に出られなかったが、プログラム中に「1回やってみるか!」と思えるようになり、 プログラム後は、「とりあえずどんどんやってみよう!」と思えるようになった。「死ななきゃ良いっしょ。」みたいな。(笑)
 「とりあえず突っ込む」という事ができるようになり、その後シンガポールやマレーシアにバックパックに行く挑戦をした。 今、日本に帰ってからも「自分自身は凄い挑戦できるようになったな」と成長を自覚している。

 

関根さんより最後に

当プログラムに参加した作佐部さんが、プログラム後に行われた「CHANGE MAKER U-18~未来を変える高校生 日本一決定戦~ 2022」で、全243チームの中から予選を突破し、精鋭5チームのトップバッターとしてプレゼンした様子が、テレビ東京で放送されました!(作佐部さんの登場は動画4分から)
当プログラムで体験した人前でプレゼンするということを、早速力に変え、羽ばたいていく姿に感動します!ぜひ動画もご覧ください!
⇒動画はこちら

 

GP山本社長より

「スキルアップ研修や語学留学に参加しても、結局身に付かなかった」という話をよく聞きます。
このプログラムでは、まず親元から離れて、海外の見ず知らずの土地に一人で行きます。そして、そこで初めて会う人たちと共同生活をしながら、互いの理解を深めるんです。
たとえ年代や国籍が違っても、つながりが生まれ、仲間となり、かけがえのない友情が芽生えていったりします。

そんな新しい自分を発見することが、実は最大の学びや気付きになるんです。
自分の可能性に期待を持った若者たちは、「このイベントに参加してみよう」「外国語を勉強してみよう」など、前向きに視野を広げて、次の目標へと進んでいくでしょう。

 

取材後記

今回の取材では、現地での写真や動画とともに活動の様子を伺いました。「この子にはこんな変化があった」「この子はこんなことが得意だった」と、自分ごとのように声を弾ませながら話す関根さん。お話を聞いているうちに、まるで私自身がそこにいるかのように、学生たちの笑顔や真剣な顔が浮かび上がってきました。

このプログラムに参加した学生たちがどんな明日を歩んでいくのか、楽しみにしていたいと思います。

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