理学療法士から就労支援事業へキャリアチェンジ。リボン髙塚さんに聞いた仕事のやりがい

シルバー

written by ダシマス編集部

障がい者就労支援サービスを運営している株式会社リボン(以下:リボン)。予期せぬ形で障害をせおってしまった人達が、やりがいのある仕事に就き、充実した日々を過ごせるようになるために活動しています。総合リハビリ研究所と同じグループである同社は、作業療法士と理学療法士を多数配置していることから、遠方から1時間半かけて来られる利用者様もいらっしゃるとか。

地域を越えて必要とされる同社で、サービス管理責任者を務めるのは髙塚友美(たかつか ともみ)さん。彼女は理学療法士として総合リハビリ研究所に入社し、訪問リハビリを担当したのち就労支援事業を行うリボンへ移りました。

そんな髙塚さんに、キャリアチェンジした背景や今の仕事のやりがいについてお伺いしました。

 

【インタビュイー】
就労支援サービス管理責任者 髙塚友美(たかつか ともみ)さん

前職は外来で整形、脳卒中、難病、小児のリハビリの仕事に就き、その中でデイケアやデイサービスショートステイでのリハビリも経験。しかし外来では、自宅の事や家庭環境などを直接目で見ることは難しかったこともあり、より本人や家族に寄り添ったリハビリをしたいと想い、総合リハビリに転職。その後、現在の就労移行支援事業所のサービス管理者として従事。現在はスタッフと相談をしながら楽しく仕事ができ、働きやすい環境のなかで充実した日々を過ごす。

就労移行支援事業所リボン

 

身体を痛めたことがきっかけとなり、理学療法士からキャリアチェンジ

――ご自身の所属部署、役割について教えてください。

リボンは就労移行支援事業所で、障害をもった方の一般就労、障がい者雇用で就職できるようにサポート、訓練を行い支援している場所です。私はここでサービス管理責任者という立場を担っています。

 

――事業所の主な一日の流れを教えてください。

午前中は1対多数の授業形式で、ビジネスマナーやパソコンの講座、あとディスカッションやソーシャルスキルトレーニングといったコミュニケーションの授業などを行っています。

午後からは個別トレーニングです。個々の得意、不得意を見つけるためにさまざまな課題を提供し、どこに配慮が必要で、どんなことで困っているのかなどを一緒に見つけていきます。そのうえでどういった対策が必要かを考え、ご自身で自分の状態をきちんと企業様に伝えられるよう練習をします。

 

――だいたい一日に何名ほど利用されるのでしょうか。

1名のスタッフが担当する最大の人数は6名なのですが、お休みをされる方もいらっしゃるので日々4~6名の利用者様と接します。

これはリボンの特徴なのですが、作業療法士、理学療法士それぞれの資格をもったスタッフが多いんです。高次脳機能障害や脳梗塞になった方を受け入れられる就労支援事業所は少ないので、遠方から来られる方も増えました。

 

――髙塚さんが入社された経緯を教えてください。最初は訪問リハビリとして総合リハビリ研究所に入社されたと聞いています。

総合リハビリ研究所に入社したのは楽しく働けそうだと思ったからです。

前職は外来のクリニックで、デイケアやデイサービス、ショートステイや訪問リハビリなど幅広く対応していました。おかげでさまざまな経験をさせていただいたのですが、ハードワークなところもあったので転職を考えたんです。そのときに総合リハビリ研究所のことを知り、応募させていただきました。

 

――総合リハビリ研究所がいいと思った理由は何だったのでしょうか。

実際に見学に行かせていただいたときの雰囲気が良かったのと、自分が知らない事業をしている会社だったこともあって惹かれました。就労支援事業のことも、そのときに初めて知ったんです。新しい経験ができる職場だと期待感を抱きました。

 

――理学療法士から就労移行支援事業にキャリアチェンジされた経緯を教えてください。

訪問リハビリをしていた頃、交通事故にあって仕事がほとんどできない状態になりました。身体も痛くてほとんど動けない状態になってしまい、体力も落ちてしまって。それでも私は訪問リハビリを続けたいと思っていたのですが、社長から身体のことを考えて就労移行事業の仕事を紹介していただいたんです。

ただ、理学療法士が就労移行事業で働くのは私が初めてだったこともあり少し悩みました。「自分に何ができるんだろう」と、不安があったので。でも利用者様や患者様に関わりたいという気持ちがあったし、自分が必要とされている場所があるならと思って総合リハビリ研究所からリボンに移ることを決めました。

 

利用者の気持ちに寄り添い、目標に向かって伴走することにやりがいを感じる

――就労支援事業に携わるなかで大事にされていることは何でしょうか。

一番は利用者様の気持ちのリハビリをすることです。とにかく話をよく聞くということを大事にしてきました。そのうえで、伝えなきゃいけないけいこともきちんと伝えるようにしています。

就労支援事業の目標は就職すること。そのためには、ご自身の障害に対して不安なことや、就職に向けてどんな課題があるのかを一緒に考えていくことが必要です。そして障害をもっているからといって、現実問題として甘くはない部分も当然あります。社会人としてお金を稼いでいくためにも、事前に伝えておくべきことはきちんと伝える。こうしたことを意識して取り組んできました。

支援活動を進めていくためには、利用者様の背景を知ることがとても大事です。これまで育ってきた環境やどういった性格なのかを知り、信頼関係を築くことが欠かせません。私たちのことを信頼していただくためにも、まずは利用者様が「自分のことをわかってくれている」と思っていただけるようになるのが、この仕事においてとても大切なんです。

 

――理学療法士の経験は今の仕事で活かされていますか。

そうですね。理学療法士の仕事では、患者様を診るために何が大事かということを学びました。理学療法士の仕事は身体の怪我の状態を知ることはもちろんですが、メンタル的なケアをするためにその人の背景や生育歴を理解することが本当に大事なんです。その経験が今に活かされていると感じています。

 

――今の仕事でやりがいに感じていることはなんでしょうか。

自分が関わることで、利用者様がご自身の障害と向き合えるようになったり、受け入れられるようになったりしていただいたときは嬉しいですね。あと、何度応募しても採用に繋がらないということも少なくないのですが、それを一緒に乗り越えて就職が決まった時も、本当に嬉しく思います。

自身の障害を受け入れたくないと考える人は多いですし、マイナスな面に目を向けず「自分はできる」と思いたくなる気持ちはとてもよくわかります。私も事故の影響で理学療法士の仕事ができなくなったときに痛感しました。ですが、そこを受け入れられるようになったうえで、前向きに取り組むことが大事です。

精一杯、利用者様とコミュニケーションを取りながら少しずつ変化が見て取れると、やりがいというか、こちらも本当に嬉しくなりますね。

――反対に仕事において難しいと感じることはありますか。

障害をもつことになってしまう事情は人によってさまざまです。例えば交通事故などであれば、その人だけでなく他の人も関係してきます。なかには対応に困る人や高圧的な人もいらっしゃり、自身の障害と向き合う以前に相手への対応で疲弊することも少なくありません。

日常生活には支障の少ない障害だったとしても、今まで通りの仕事ができなくなったことや収入が得られなくなったことで、自分をどんどん追い込んでしまいます。お酒に逃げてしまったり、自分を傷つけたりといったことになってくる。そうなると、私たちのサポートの範疇を超えてしまうので、どうしてあげることもできずにもどかしさを感じることはありますね。とにかく話を聞くことくらいしかできなくて。

 

――そういうこともあるのですね。高塚さんも精神的な負担が大きいように思うのですが、どのようにケアをされているのでしょうか。

リボンではケースミーティングなど週次で利用者様の現状を共有し、今後どうしたらいいのかを相談する機会があります。上司にも相談しやすいし、相談支援員さんという人にも相談できるんです。

自分ひとりでリフレッシュするのは正直難しいと思います。どうしたらいいんだろうと考えこんでしまうので。だから誰かに相談できる場所がある、というのがとても大事ですね。

 

――気持ちに寄り添う仕事だからこそ、相談できる場所があるのは本当に大事ですね。髙塚さんが今後取り組んでいきたいと思っていることはありますか。

就職先が決まった利用者様が、その後も活き活きと生活ができる環境づくり、プライベートな時間を楽しんでもらえるような環境づくりをしたいと考えています。

今も、定着支援という形で利用者様が就職された後のサポートを行っています。仕事が安定してできるようにサポートをしていくのですが、利用者様と関わっているなかで感じるのが仕事以外の時間の過ごし方です。

仕事だけで充実感を得られたり、個人的な趣味をもっていたりする方はいいのですが、身体が不自由になってしまったことで、今まで好きでしていた趣味ができないということもあります。そうなると週末はまったく家からでなくなり、人との関わりが仕事場だけになってしまう方は割と多いんです。

だから仕事のサポートだけでなく、休みのときも楽しめる場所をつくりたいと思っています。まだ私のなかで考えているだけで、具体的なことはこれから相談していくつもりですが、何名かのスタッフからは「そういうのがあるといいと思います」と言ってくれるので、実現できるといいなと考えています。

 

お互いがサポートしあえる環境をつくり働きやすい職場に

――髙塚さんが働いている職場の雰囲気について教えてください。

リボンには、お互いがサポートし合うことを大事にする環境があります。

私はサービス管理責任者として、些細なことでも何かあったときにはその都度報告しあって、スタッフ全員が利用者様のことを把握しておくことが大事だと考えています。スタッフが休んだり、何か他の対応をしていたりする際に、誰でもフォローができるからです。

マネージャーの関さんや現場スタッフとも相談し、スタッフたちが働きやすい職場をつくるよう心がけています。

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――就労支援事業の仕事はどんな人でも働ける現場でしょうか。

この仕事は、現場未経験の人でも、コミュニケーションを取ることが好きだったり、相手のことをきちんと理解したりできる人であれば、働いていて楽しさややりがいを感じられると思っています。私も理学療法士や訪問リハビリの経験があったとはいえ、就労支援事業の仕事ははじめてのことばかりで戸惑うことも多かったですが、今こうして仕事をさせてもらっています。

こんなキャリアチェンジの仕方もあるんだと、誰かのきっかけになれば嬉しいですね。特に私と同じ理学療法士の人には、現場の経験がとても活かせる仕事であることはぜひお伝えしたいです。

理学療法士の人は、体のリハビリというところに視点を置いてきた、置いてきてる人がほとんどだと思います。その視点を、その人の心や気持ち、その人の人生に対して向けることで活躍できる現場が就労支援事業です。理学療法士として一生懸命取り組まれている人であれば、就労支援事業の現場でもきっと活躍できます。

あと今、事業所の半数はお子さんがいるスタッフです。「お子さんが体調不良なので迎えにきてください」みたいに、急に業務から外れてしまうことも少なくありません。ですが、お互いフォローしあえる環境があるので、途中で帰っても他のスタッフがフォローできます。お子さんがいる人でも安心して働いていただけると思います。

新しいキャリアをつくる場所として、リボングループを考えていただけたら嬉しく思います。

 

▼リボングループの採用情報はこちらから

https://www.sogoriha-recruit.com/entry/

 

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