ノルマより「先を見据えた行動」を。専門商社マルニシで働く入社3年目営業のリアル
written by ダシマス編集部
株式会社マルニシ
水道管やガス管──私たちの暮らしは、普段目にすることのない無数の資材に支えられています。昭和3(1928)年創業の株式会社マルニシ(以下、マルニシ)は、長野県内7拠点に管材・鉄鋼・機工の3部門を展開し、暮らしのインフラづくりを支える産業資材の専門商社です。
今回お話を伺ったのは、長野店管材部の営業で入社3年目の山田二弓(やまだ ふゆみ)さん。野球と仕事を両立しながら日々お客様と向き合う山田さんに、専門商社の営業のリアルと、マルニシの社風について伺いました。
長野店 管材部 山田 二弓(やまだ ふゆみ)さん
長野市出身。物心ついた頃から野球を続け、現在も地元のクラブチームでプレーする。「野球を続けながら地元で働きたい」という軸で就職活動を行い、高校の先輩の誘いをきっかけに新卒でマルニシへ入社。現在は長野店管材部の営業として、管材から住宅設備まで幅広い商材を扱い、迅速な対応を武器にお客様との信頼関係を築いている。
野球を続けながら仕事がしたい。将来を見据えて選んだマルニシ
──「管材」という言葉は、日常ではなかなか耳にしません。マルニシがどのような会社なのかも含めて、まずは教えていただけますか。
マルニシは、管材部・鉄鋼部・機工部の3部門を柱とする産業資材の専門商社です。長野県内に7つの拠点があり、私はそのうちの長野店で管材部の営業を担当しています。管材部は、漢字の通り、水道管やガス管といった暮らしのインフラを支えるパイプ関連の商材をメインに扱う部門です。
ただ、パイプやそれに付随する部材だけでなく、トイレやキッチン、お風呂といった住宅設備から、カーポートのような外構商品まで扱っていて、管材商社という括りではあるものの、総合商社と言っても過言ではないくらい商材の幅は広いんです。
入社するまでは、パイプなんてどれも同じだろうというくらいの認識だったのですが、実際は、飲み水にはこのパイプ、お湯にはこのパイプと、用途ごとに細かく種類が分かれていて。3年目の今(2026年7月時点)、ようやく覚えられたなと思えるようになったところです。

──山田さんは、どのような経緯でマルニシに入社されたのでしょうか。
物心ついた頃から野球を続けていて、就職活動も野球を続けたい、地元の長野で働きたいという2つを軸にしていました。そんなとき高校の先輩から「地元に帰ってくるなら、俺のチームで野球をやらないか」と誘われ、その勤め先がマルニシでした。完全週休2日制で土日に野球ができ、県内各地に拠点があって転勤も少なそうで、待遇面も後押しになりました。
野球部員として採用したいという企業もありましたが、それだと勤務時間内に練習が入る分、仕事に向き合う時間が短くなります。野球をやれるのは長くてもあと10年、15年。引退後に同世代と差が開くのではという不安がありました。正社員として働きながらクラブチームで続けられる。将来まで見据えて選んだ結果が、今の働き方です。

進んで頼ってもらう。自由に任される営業を支える「先を見据えた行動」
──現在は営業として、どのような毎日を送っているのですか。
基本はルート営業で、前任者から引き継いだお客様を担当しています。メール対応、見積もり作成、客先訪問や打ち合わせ、社内処理とやること自体は決まっていますが、毎日同じ流れという仕事ではありません。お客様や現場のスケジュールが最優先で、「打合せをしたいから現場または会社に来てほしい」と言われれば日程を調整して伺えるようにし、「何時までに見積もりがほしい」と言われればそこに向けて動きます。日によってまったく違う一日になる、流動的な仕事です。
──予定の読めない毎日の中で、山田さんが大切にしていることはありますか。
言葉としては少し乱暴かもしれないんですけど、とにかく「使い走ってもらう」ことです。あえて自分から、何でも遠慮なく言いつけていい相手という立ち位置に入っていく、という意味で。
私たちの仕事は、お客様から声をかけていただくことが出発点です。「この程度で呼び出したら悪いかな」と一瞬ためらわせるだけで、その相談はなかったことになります。だからこそ、急ぎの見積もりでも今すぐ届けてほしいという依頼でも、「いつでも動けますよ」という姿勢を先に見せておく。そうすればお客様は迷わず声をかけてくださり、案件も私のところに集まってくるのではないかと考えています。
とはいえ商材は膨大で、用途や規格がわずかに違うだけで別の商品になります。ご依頼を形にするには、都度カタログやメーカーさんに確認する工程が挟まります。知識と経験が足りない分は手間を惜しまず向き合う。その積み重ねの先に、「山田に頼めば動いてくれる」と思っていただける関係があります。

──営業と聞くと、ノルマや数字に追われる厳しい世界を想像する方も多いと思います。実際のところはいかがですか。
数字で追い立てられる厳しさは、正直ほとんどありません。マルニシには、ノルマというものがなく月々の目標を自分で決めますし、達成できなければ罰則、といった仕組みもないんです。会社としての業績目標はありますが、その手前は一人ひとりに任されている。「こういう営業をしなさい」と型にはめられることもなく、課長がよく言うのは「自分なりの営業方法を見つけろ。困ったら俺に聞けばいい」という言葉です。とても自由度の高い会社だと思います。
──それだけ任せてもらえるのは、なぜだと思いますか。
「先を見据えた行動」を大切にする会社だからだと思います。私たちが扱う配管や住宅設備は、建物の計画が動き出してから納品までに何カ月もかかります。どんな設備を入れたいか、どんな建物にしたいかという打ち合わせが着工のずっと前から重ねられるので、目先の数字を追って慌てるのではなく、常に先を見据えた行動が求められる仕事なんです。
半年後、1年後、さらに2、3年後にこの案件をいただきたいと見据えて、今から関係づくりや提案の準備を進めておく。先の仕込みが常にあるので、目先の数字が上下しても事業として揺らぎませんし、月ごとにノルマで追い立てる必要もない。だからこそ、やり方は自由でいいと任せてもらえるのだと感じています。

──お客様の都合に合わせて動き回りながら、見積もりから納品まで一人でこなすのは大変そうです。
そこは、弊社の強みである分業制に支えられています。営業が仕事をいただき、アシスタントが見積もりや受発注などの事務処理を担い、配送が商品をお客様のもとへ届ける。アシスタントさんのおかげで私一人に負担が集中せず営業に出られ、納品を配送さんに任せられるからこそ、お客様第一で動けています。
「過保護なくらい」に教わった1年目。年齢を越えて距離の近い職場
──入社当時のことも聞かせてください。仕事はどのように覚えていったのですか。
まず本社で同期が集まる研修があり、仕事の基本を先輩方から教わります。その後は店舗に戻って1カ月間の倉庫研修へ。伝票をもとに、見たことも触ったこともない商品を実際に出しながら覚えていきます。事務所に入ってからはOJTとして2名の先輩がつき、仕事をチェックしていただきながら「次はこれをやってみようか」「わからなかったら聞いてね」と、システムの使い方から商品の調べ方、メーカーさんへの問い合わせ方まで事細かに教わりました。
──その手厚さを、当時はどう感じていましたか。
正直、過保護すぎるんじゃないかと思うくらいでした(笑)。ずっと野球をやってきたので、やり方は見て覚えろという世界も覚悟していたんです。でも実際は投げ出されることがまったくなく、先輩方が時間を割いて「ここをクリックすると、このページに飛ぶよ」と隣で一緒にやってくださる。OJTの先生以外の方も、私が手を止めていると横から「大丈夫?わかる?」と声をかけてくれる。わからないことを聞きやすい環境は、今も変わりません。
──職場は普段、どんな雰囲気なのでしょうか。
一言でいえば、活発です。仕事のやりとりや電話対応の声はもちろん、ちょっとした雑談で笑いが起きることも多く、事務所がしんと静まり返っていることがありません。かといって緩いわけではなく、忙しいときはぱっと空気が切り替わり、間違ったことをすれば「それは違うぞ」ときちんと指摘してもらえます。歳の離れた上司と他愛もない話で笑い合うこともあるくらい、年齢や役職を越えて距離が近い。メリハリのある職場です。
──社内の交流という意味では、3年に1度の社員旅行も大きなイベントだと伺いました。
ちょうど今年、沖縄へ3泊4日で行かせていただきました。全社員が対象で、国内から海外まで10班ほどに分かれ、好きな行き先を選べるんです。1班はおよそ30名で、国内なら宿泊費も食事代も基本的に会社が負担してくれます。旅行中の業務は他の社員がカバーしてくれるので、気兼ねなく羽を伸ばせます。
普段は別の拠点でなかなか顔を合わせない方々と和気あいあいと過ごし、「楽しかったね、また頑張ろう」と締めくくれる。長年続く、会社が力を入れている行事です。

暮らしの裏側が見えてくる仕事。縁の下の力持ちとして、地元を支えたい
──入社から3年。この仕事ならではの面白さは、どんなところに感じますか。
身の回りにあるもののほとんどが、自分の扱っている商品だというところですね。コンビニでお手洗いを借りれば「このトイレはあのメーカーのものだな」と確認してしまうくらい、すっかり職業病です。他の人には見えていない暮らしの裏側を知ることができて、日常の見え方が変わっていく。生活に密着した業界ならではの面白さだと思います。
──山田さんの今後の目標を聞かせてください。
大まかではあるのですが、地元に貢献したいという思いが一番にあります。私たちが扱っているのは、生活していく上で欠かせないものばかりです。表立って「山田が何かを成し遂げた」と残る仕事ではないけれど、縁の下の力持ちとして長野の暮らしを支えている実感があります。学校のような公共性の高い案件に携わる機会もありますし、自分を育ててくれた地元に恩返しができる、そんな人材になっていきたいですね。
──最後に、この記事を読んでいる学生の皆さんへ伝えたいことはありますか。
迷わずに突き進んでください、と伝えたいです。私自身、就職活動ではいろいろと迷って、考えすぎてしまった時期がありました。でも、結局はなるようにしかならないと思うんです。だからこそ、自分が決めた道を正解にできるように突き進んでもらえたら嬉しいですね。

(取材・執筆:大久保 崇)
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