“みんなが主役になれる場所”交流型直売施設「あかねてらす」に集まれ!

レッド

written by 川西里奈

栃木県那珂川町ののどかな田んぼの風景をバックにウッドデッキのオープンスペースを発見。たくさんの人が集まっていてにぎやかな様子です。

ここは交流型の直売所だそうで、町で採れた新鮮な野菜や地元のものを使用したドリンクやスイーツを販売し、イベントも開催しているとのこと。早速、見学してみましょう!

木材店から誕生!トロピカルな地域ブランド

こんにちは!今売っているのは何でしょうか?

 

鈴木さん:あかねてらすには多数のお店が出店していますが、このログハウスの中では那珂川町で作られた甘酒や焼酎、うちで栽培した「なかよしマンゴー」を使ったマンゴープリンも売っています。

 

▲なかよしマンゴーを使ったなめらかマンゴープリン。

 

マンゴー農園をされているんですか?

 

鈴木さん:うちは木材店なのですが利用されていない木材から木質バイオマス発電を行っています。「木質バイオマスボイラー」で木質チップを乾燥させていて、その余熱を利用して地域に新たなブランドを作れないか、という話が10年前にありました。

 

バナナを栽培する案もあったのですが、当時マンゴーにハマっていた私が「マンゴーが良いですよ!」と言ったのが始まりで(笑)、マンゴーの栽培をしています。

 

今では本当に地域のブランドとなったんですね!

 

鈴木さん:挑戦していく中でスタッフが一生懸命協力してくれたので、皆さんに提供できるまでになりました。廃校を利用した施設内ではうなぎの養殖や珈琲の栽培もしています。

 

このあかねてらすを中心に販売をすることで、毎週いろいろな方に知っていただくことができました。マンゴーが旬の時期には朝から行列ができることもあるんですよ。

 

▲鈴木木材店の鈴木栄子さん(左)とマンゴー栽培を担当する斎藤さんご夫婦。

 

マンゴーの季節にまた来てみたいです!ここは地元の方々にとってどんな場所なのですか?

 

鈴木さん:街の交流の場として毎週日曜日にオープンして、町で採れた野菜や果物やそれを使って作られた食品の販売などをしています。出店者は毎週変わるので、複数の珈琲屋さんを飲み比べることができたり、新しい人とのつながりができるのが魅力的だなと思います。

 

日当たりは最高なのですが、そのぶん風も強く冬の間はお休みをしています。2022年の3月末頃にまた再開しますので、そのタイミングはInstagramなどで告知をします。

 

ウッドデッキのオープンスペースだから、人も集まりやすい雰囲気がありますね。

 

鈴木さん:ここは景色が最高で、周りもぐるっと散歩できるんです。田植えから稲刈りまで田舎ならではの風景を楽しむことができますよ。

 

この2年間は開催できなかったですが、「あかねてらすナイト」という、星や満月を見る会も企画していました。先々週はフラダンスの企画もやっていたんです。またこれからも皆さんに楽しんでいただける場を提供していきたいですね。

 

貴重なお話をありがとうございました!

 

▲この日のイベントにはどこでもドアも出現。周辺にはのんびりとした田園風景が広がる。

小学4年生で立った晴れ舞台!父と二人三脚で町を元気に

あかねてらすを見学していると、おいしそうなものがたくさんあるのでついつい目移りしてしまいます。そうこうしていると前方のステージでバンドによる演奏が始まりました。ん?よく見ると大人たちに混ざってドラムを担当しているのはとても若い男の子です。

 

ドラムがすごく上手ですね!お名前は?

 

久保くん:久保陽佑、小学校6年生です。

 

ドラムはいつからやっているんですか?

 

久保くん:小学校2年生からやっています。今日は人生で2回目のステージでした。2年前のN-1グランプリという一芸を披露するコンテストで初めて演奏したんです。

 

Nは那珂川町のNですね?

 

久保くん:そうです!そこではタンクトップと胸毛を付けて、アディダスの靴とジーパンを履いて、クイーンのフレディー・マーキュリーのモノマネをしました。

 

小学4年生でその度胸はすごい・・・!あれ、もしかして隣にいるのは久保くんのお父さんですか?

 

久保くんのお父さん:はい、そうです(笑)。ドラムは僕が教えたわけではないんですが、運動が苦手なことがコンプレックスにならないように何かひとつ軸を作る必要があるかなと思って音楽を勧めたんです。それでドラムなら家でできるからと思い電子ドラムを買いました。

息子は電車が好きだったのでゴダイゴの『銀河鉄道999』を演奏させてみたらなんとなくできたので、それからはYouTubeを見ながら自分で練習したり、元地域おこし協力隊の人に教えてもらったりしていましたね。

 

こうやって、町で披露する場があるのも良いですね。

 

久保くんのお父さん:それがこの町の良いところです。人口1万5千人の小さい町ですから、やったもん勝ち!一生懸命やれば誰でも主役になれるんです。一芸があればイベントがあるときに盛り上げることもできるじゃないですか。

ちなみにこのパーカーは那珂川町のPRができたらいいなと思って私が作ったグッズです。帽子もありますよ!

 

久保くん、お父さんありがとうございました!

「変わらぬ風景を大事にしたい」故郷で実感する心の豊かさ

久保くんの所属するバンド『ミカワヤブラザーズ』のステージが終わってしばらく、那珂川町のことを歌った曲が頭から離れない!と思っていたら、あれ?向こうにいるのはたしか、作詞作曲をしたと言っていた男性・・・。思わず声をかけちゃいました。

 

こんにちは!先程の那珂川町の曲、地域愛が伝わってきてとても印象的でした!普段は何をされているのですか?

 

金子さん:かましん馬頭店に入っている衣料品店『三河屋』のオーナーの金子です。音楽は趣味で高校生のときからやっています。

 

金子さんはずっと那珂川町にいらっしゃるのですか?

 

金子さん:若い頃は東京に行っていました。24歳のときに父親から連絡があり「町が衰退しているからショッピングセンターを作ってどうにか盛り上げたい。町に帰ってきて手伝ってほしい」と僕に言ってきたんです。

 

都会に比べると地元は霞んで見えていて「あんな田舎に帰りたくない」そんなふうに思ったこともありました。でも父親の、町がかわいそうなんだという言葉がどうしても気になって帰ってきて今にいたります。

 

曲のアイデアはどこから浮かんだのでしょう?

 

金子さん:先程の曲は、一昨年那珂川町の役場が移転してその跡地を散歩していたときに浮かんだものです。桜が咲いているのを見て、町並みが変わってもずっと変わらないものがあるんだなと感じ、この町を大事にしたいと思いました。

 

僕が子どもの頃、町はすごくにぎやかで楽しい思い出ばかりでした。今はその頃よりも寂しくなってしまったかもしれません。でも人間もそうだけど、良いときもそうでないときも両方付き合っていたいですよね。今僕は町と付き合っていることで、心が豊かになったなと感じています。

 

金子さん、ありがとうございました!

 

取材を終えて

町を元気にしたい、そんな思いを持った人々が作り上げているあかねてらす。お子さんからお年寄りまでたくさんの人が食事やステージを楽しみながら交流をしていました。那珂川町では一生懸命行動する人たちが支え合い尊重し合っていて、あかねてらすはそこに集う人ひとりひとりが主役になることができる場所なのだなと感じました。

 

▼あかねてらすのInstagramはこちら!

https://www.instagram.com/akane.terasu/?hl=ja

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