販売員が自信を持てる「魔法はいらない」流職場づくりとは?

シルバー

written by 伊藤愛結

松前 桃子(マツマエ モモコ)さん

松前 桃子(マツマエ モモコ)さん

あだ名:モモコン
愛媛県今治市出身。
結婚を期に松山市へ。
「魔法はいらない」を運営しているC&Cベーカリー取締役の奥さんから「ぜひ働いてほしい!」と言われたのがきっかけで働き始める。

#美容師を目指し挫折するも、飲食店で接客経験を積み再び美容師へ
#「”新世界”の良さを多くの人に伝えたい!」とインスタ運用を名乗り出る
#心遣いの魔術師モモコンです

耳はとても薄く、中はモチモチの食パン”新世界”。

そんなパンを販売する松山市で人気の食パン専門店「魔法はいらない」をみなさんはご存じでしょうか?

 

このパン屋の運営会社は、なんと会員制ナイトクラブ(高級クラブ、キャバクラ 、バー)を持つC&Cグループ様(以下敬称略)。

松山市内や東京銀座などに9店舗展開するC&Cは今年35年目を迎えようとしています。

 

「より街を元気にしたい」という想いを実現するにはどんな事業がいいだろうか。

そう模索していたC&C様の前に現れたのが、かの有名なプロデューサー 岸本拓也さんでした!

 

数々のバズるパン屋を生み出してきた彼とタッグを組み、新境地である食パン専門店の事業部門C&Cベーカリー様を設立。

瞬く間に反響を呼んだこの専門店は、パンのおいしさだけでなく販売員さんの心遣いや明るさも人気の鍵だとか!

 

今回は「魔法はいらない」で販売リーダーとして働いている松前さんに、一緒に働きたい人について語ってもらいました。

 

お客様が求めているものに最大限応えたい

---C&Cベーカリーでは「心遣い」を大事にしているそうですが、松前さんがお客様に「心遣い」をする際に考えていることは?

 

普段の生活の中で、私がお客様としてされて嬉しかったことを頭の中でメモしておいたり、常に「お客様が何を求めているか」をもうひたすら考えてますね!

 

例えば雨が降ってきたら、言われなくてもパンが濡れないように雨カバーをつけるとか、お年寄りの方が来たら「段差があるから気を付けてください」という声がけをしてお店の前まで迎えに行くとか。

そういう些細なことだけど、お客様が何をされて嬉しいかを考えるようにしています。

 

パンの試食配布の時も「試食をあげたんだから来てよオーラ」が私はすごく嫌なので。笑

「このパンほんっとにおいしいんで、よかったら食べてみてください」という声がけにとどめて、お客様に圧をかけないように工夫していますね。

 

そういった「お客様が何を求めているか」というのを些細なところまで気にしたいんですよ。

こうしたことが自然に新人さんに伝わっていたみたいで、今では「販売員の新人育成=松前」みたいになっています。笑

 

大切なのは、理由を伝え新人の意見に耳を傾けること

---今後入社される方は松前さんに教えてもらうと思うのですが、新人教育を行う際に意識していることは?

 

「どうしてこうするのか」という理由をしっかりと伝えるようにしています。

特にお店に入った頃は何も分からず不安だと思うので、最初は全部伝えるようにしていますね。

 

例えば金帯(パンの袋を閉じる針金)は、必ず「平行巻きにしてね」と伝えています。

というのも「魔法はいらない」では2斤サイズのパンを売っているので、一回で食べきることはそうなくて、多くのお客様は再度袋にパンをしまって保存します。

なので金帯をねじねじと絡ませてしまうと、次に金帯を使う時にわざわざ伸ばして使わなきゃいけないんですよね。

平行巻きにされた金帯

 

ねじねじと絡ませた後にほどいた場合の金帯(左)と平行巻きの状態からほどいた場合の金帯(右)

 

すべて教えるという一方で「考えてもらう」ということも意識していて、ある程度お店に入って慣れてきたなぁって子には「これじゃなくて、こっちがいいかも!」とアドバイスをしておいて、お客様がいなくなってから「なんでこっちがいいか分かった?」みたいな感じで教えています。

 

スタッフとは結構気さくにコミュニケーションを取っているので、新人の子も「えぇ!なんでやろ~」みたいな感じで考えてくれるんです。

それで「これ、こうやん。え、めっちゃ細かいこと言っていい?」って、理由を説明しますね。

 

あとは教えるだけじゃなくて、新人の意見もきちんと聞くようにしています。

 

新人の子がふと「これこうしたらいいのに~」ってぼそっと呟いたら、「たしかに!やってみる?」みたいな感じで!

私自身も「なんで気が付かんかったんやろ!」って学ぶこともありますし、新人の子達と一緒にお店を作り上げていきたいと思っていますから。

 

「細かすぎかも?」と悩むことも・・・

 

---新人教育を行う中で難しいなと感じることは?

 

私の常識をぶつけるのはダメだと分かっているのですが、どうしても口を挟みたくなっちゃうこともあって、その境界線が難しいと感じます。

 

例えばパンの包み方一つ取っても「パンの袋に虫が入ったり、乾燥しないためにも金帯をキツく締めてね」って伝えるんですが、新人の子はキツく締めているつもりでも、私的には「少し緩いかも」と思うことがあって、そこのちょうどいいところの判断をどうするかが難しいと感じることはあります。

 

私自身も実践して見せてあげることはできるんですが、口で説明するのがすごく難しくて。

パンをつぶさないように包んで、なおかつ金帯でしっかりと締めて、金帯の先で怪我をしないように先を丸めて中へ入れる。

パンの袋を閉じるだけなんですが、こんな風に色々考えられているんですよね。

 

他にもお客様にお釣りをお返しするときは、お札の向きを揃えてお渡しするというのをお店で徹底していて。

「魔法はいらない」に来てくださる方は客層的に年代が上の方達が多いので、「気にする人は気にすると思うから気を付けてね!」って新人の子達には伝えています。

 

嬉しい共有をしながらモチベーションが上がる職場作り

 

---スタッフさんが働きやすい環境を作るために工夫していることはありますか?

 

とにかくモチベーションが上がる職場作りを目指して、色々工夫しています。

 

例えば「ありがとうカード」というのもその取り組みの一つで、「なになにしてくれてありがとう!」というちょっとした感謝の言葉を書いた手書きのカードをスタッフ同士で送り合うんですよ。

 

このカードには仕事でもいいし、プライベートのことなど些細なことでも書いてもらうようにしていて、書いたら壁に貼っておいてもらうんです。

それで壁のケースがいっぱいになったら、自分の元にカードが返ってくるんですよ。

 

「ありがとうカード」の枚数が多ければ多いほど、たくさんの人に感謝されているということなので、モチベーションも上がるし、自己肯定感も上がるんですよね。

 

ちょっと自慢になっちゃうんですけど、私も「松前さんは本当にすごいと自分で接客してみて分かりました」と書かれたカードをもらったことがあって。

その言葉だけでも嬉しいのに「うちの販売スタッフはみんな接客が上手ですね」って、私が教えている他の販売員さんのことまで褒めてくれて。

「もう泣ける」ってなっちゃいますよね。笑

 

 

あとは私はインスタの運用も任されているので、DMでもらったコメントもオープン前に行う製造員さんと販売員さんが集まる朝礼で共有するようにしています。

 

例えば「パンがおいしかった」というコメントとかですね。

インスタのコメントに限らず、製造員さんにお客様の生の声を伝えるようにしています。お客様と直接お話できるのは私達販売員の特権なので。

県外から買いに来てくれる方もいらっしゃるので、そういう声を製造員さんに伝えてあげれば、モチベーションも上がるし、何より嬉しいですよね!

 

休憩室の机が円形になっているのも一つの作戦で、みんなでパンを食べながら話しやすい環境を作ってお客様の声の共有やコミュニケーションができるように工夫しています。

 

---新人教育や職場作りを行った結果が実を結んだ!と思った瞬間は?

 

お客様から私の名前だけじゃなく「スタッフの〇〇さんいる?」って言われる瞬間ですね。

「あぁ、みんな自然にお客様に覚えてもらえる接客が出来ているんだなぁ」って実感できる瞬間でもあるので本当に嬉しくて。

 

あとは「魔法はいらない」の繋がりで、ご飯に行っているのを見かける瞬間です!

休憩時間が一緒になった時に、先輩後輩、男女や年齢も関係なく新人さんをご飯に誘ってたり、あだ名で呼び合ったりしているところを見ると、「仲良くなってくれたなぁ」ってとても嬉しくなるんですよね。

 

ここ最近一番実感したのは「魔法はいらない」のアルバイトの面接に来てくれた子が、「試食をもらってパンがおいしかったのもあるんですけど、試食を渡してくれた販売員さんの対応がすごく素敵でここで働きたいと思って!」って言ってくれたことです。

もうそんなこと言われたら「みんないい接客してるから、自信持って販売し!」って胸張って言えますよね。

 

また来たくなる自慢のお店作りを一緒にしませんか?

 

---今後の目標は?

 

パンを売るだけじゃなくてお客様に気持ちよく帰ってもらって「また来たい」って思ってもらえるお店作りを目標にしていて、それを目標と感じられる子を育てたいです。

 

と言っても私色に染めたいわけではなく、「また来たいと思ってもらえるお店作り」という目標は販売員の中で揃えた上で、それぞれの良さを活かしながら目標に向かって十人十色で活躍してほしいですね。

 

---最後に求職者にメッセージをお願いします。

 

正直「魔法はいらない」のパンを「おいしい」って心から思ってくれる人なら条件はクリアなんです!

 

本当においしいものって、誰かに伝えたくなると思うんですよ。

「この食パン本当においしいけん、ここのお店行ってみて」って言いたくなるし、本当においしいパンを売っているんだって自信や誇りにも繋がります。

 

私も「魔法はいらない」に入る前は「覚えること多いんかな」とか「パン屋で働いたことないから難しいかも」なんて思っていました。

アルバイトとして働いてくれてる子もそうで、「販売したことないけん、私にできるかな」って思いがちだし「人見知りだ」って子もいると思います。

 

でも「販売員さんの接客がとても素敵で、私もそうなりたいからここで働きたい!」って言ってくれたらもう泣ける!即採用です!笑

ここの販売員さんみたいになりたいっていう気持ちがあるなら絶対なれます!

そうなれるように、販売に対するノウハウは私が責任を持って教えます。

 

だから「気軽に楽しみたい!」くらいの気持ちで応募してくださいね!

みんなで協力して投稿しているInstagramもぜひ覗いてみてください!

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