世代を超えて愛されるジュエリーブランド。富山県の伝統技術を海外へ発信

レッド

written by 川西里奈

身につける人の魅力を引き出し、日常に輝きを与えるジュエリーブランド『GOMAJIMA』。富山県の伝統技術をデザインに用いるなど、新たな発想で国内外から注目を集めています。老舗宝飾店の5代目であり自身でブランドを立ち上げた胡麻嶋理恵さんに、先代から受け継いだ想いや今後の展望についてお聞きしました。

胡麻嶋 理恵(ごまじま りえ)

富山県小矢部市出身。1914年創立の宝飾店の5代目として生まれる。明治大学で経営学を専攻後大手百貨店に入社、ファッション部門に携わる。2009年、ヒコみづのジュエリーカレッジCCJD1コース過程終了後、2010年に『RIE GOMAJIMA』を設立。2015年、富山県の伝統装飾技法「螺鈿(らでん)」を用いたRADEN JEWELRYを発表。同年、経済産業省『The Wonder 500™』『富山プロダクツ』に認定される。2019年よりブランド名を『GOMAJIMA』へと改める。

伝統技術、螺鈿を取り入れた『RADEN JEWELRY』

__GOMAJIMAのジュエリーとはどのようなものなのでしょう。

 

胡麻嶋 理恵さん(以下、胡麻嶋):“母から娘に大切に受け継がれるジュエリー”をコンセプトとしたブランドです。ジュエリーは身につける人の魅力を引き出して、パワーを与えてくれるアイテムです。

 

その魅力を多くの人に感じていただきたく、各地の百貨店での出店やオンラインストアなどでジュエリーの販売を行っています。ホームページを見ていただいてもわかるように、ブランドのイメージはカラフルで華やかで、見ているだけでも高揚感を味わっていただけるような雰囲気を作っています。

▲GOMAJIMAが手掛けるジュエリーコレクションの一部

 

__特徴的なジュエリーとしてどんなものがあるのでしょうか?

 

胡麻嶋:私の出身地である富山県の伝統技術、螺鈿(らでん)を用いた『RADEN JEWELRY』はGOMAJIMAの特徴的なジュエリーのひとつです。

 

螺鈿は400年前から富山県の高岡市で受け継がれていて、貝殻の内側の虹色光沢を持った真珠層の部分を削り出し、素材に貼るという装飾の技法です。現在では職人さんの数は高岡市でも4人程に減ってしまい、大変貴重な伝統技術となっています。

 

__伝統技術をジュエリーに用いるのはおもしろいですね。

 

胡麻嶋:学生の頃に上京し地元を離れている期間も長かったのですが、螺鈿に再び出会ったときには「地元にこんな素晴らしい技術があったなんて!」と富山県の魅力を再発見した気分でした。同時に、貝独特の虹色の輝きは透明感がありとても美しく、ジュエリーとの相性も絶対に良いと確信しました。

 

2015年に商品化し、経済産業省が日本が誇るべきすぐれた地方産品を世界へ発信するための『The Wonder 500™』に認定され、ニューヨークの展示会に出品し、海外の方や若い方にも知っていただくきっかけとなりました。また、富山県内で製造される、性能・品質・デザイン性に優れた製品として『富山プロダクツ』にも選ばれました。

▲富山県の伝統技術、螺鈿を用いた『RADEN JEWELRY』

 

オリジナルブランド『GOMAJIMA』を立ち上げる

__胡麻嶋さんがご自身でブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

 

胡麻嶋:私は1914年創業の宝飾店に生まれました。祖父の時代までは眼鏡や時計を主に扱っていたそうですが、両親の代から宝飾品がメインになりました。100年以上の歴史がありますが、いつの時代も身につけるものを扱う商売だったことに変わりはありません。

 

私は大学卒業後に百貨店に就職しましたが、大きな会社で雇われるのは自分の性格に合っていないと感じていました。そんな中で、「人生は一度きりだから、どうせやるなら自分の手で作ったもので、お客さんに心から喜んでもらえる仕事をしよう」と、百貨店を辞める決断をして富山県に戻りました。両親の営む宝飾店に入り、12年前にオリジナルブランドである『GOMAJIMA』を立ち上げました。

 

ほとんどひとりでお店の経営や取引先とのやり取りや営業をして、店頭に立つこともしているので、自分が抜けては成り立たないという責任は重大で、大変なのですがその分やりがいを感じています。

 

__やりがいを感じる瞬間はどんなときですか?

 

胡麻嶋:時間をかけて作ったジュエリーがお客さんの手にわたり、笑顔で喜んで買っていってくださったときは、本当にうれしいですね。店頭に立っていると「素敵ね」と声をかけていただいたり、一度購入していただいたお客さんがもう一度来られたり、手紙までいただいたこともあります。そういった瞬間に、本当にやっていてよかったなと思います。

 

自分の思い描いたものが実際にかたちになるときもやりがいを感じる瞬間です。もともと作ることが好きなので、新作コレクションのことなどは常に考えています。自分の身につけたいと思えるものを想像し、アイデアをメモしたり、時間をおいて客観的に考えてみたりという作業はとても楽しいです。

 

__お客さんはどのような方が多いのでしょう?

 

胡麻嶋:20代から70代まで年齢層はかなり幅広いです。百貨店でのポップアップストアがきっかけで何度も来ていただくようになった方や私のYou Tubeを見ていただいている方もいらっしゃいます。オンラインストアで購入してくださる方も多いですね。

▲1914年に富山県小矢部市で創業

 

母から娘の手に渡る、特別なジュエリーを作り続けたい

__お店を経営していく上で大事にしているのはどんなことでしょう?

 

胡麻嶋:両親が富山県小矢部市の駅前にある宝飾店で、地域の人との関わりを大事にお店をやってきているのをずっと見てきました。東京に出てきてこうしてお店をやっていられるのも、両親が積み重ねてきたものがあってこそです。地域の人とともに成長してきた歴史を大切にし、どれだけ忙しくても自ら店頭に立ち続け、お客さんとのコミュニケーションを大事にしていきたいと思っています。

 

__地元である富山県に対する思いを教えてください。

 

胡麻嶋:知れば知るほど魅力のある場所だと感じます。東京で仕事をしていると、自分のアイデンティティである富山県を大事にしたいという思いは強くなっていきます。ジュエリーのデザインを考えているときも、富山県の自然に囲まれた環境にいると、心が開放されて良いアイデアが生まれることもあります。そういった意味でも私にとって富山県は特別な場所です。GOMAJIMAのジュエリーを通して、富山県の伝統技術が全国へ海外へと広まり、富山県の発展に貢献することができればとてもうれしいです。

 

__今後の目標はありますか?

 

胡麻嶋:一人でも多くの方にジュエリーを身につけたときの高揚感を知っていただきたいです。私自身も母から譲り受けたジュエリーを持っていますが、長く愛されるジュエリーには“想い”がたくさん詰まっています。身につけると受け継がれた想いやぬくもりを感じることができます。時間をかけて使うことでその良さがどんどん増していく特別なジュエリーを、これからも多くの方に届けていきたいと思います。

 

取材を終えて

胡麻嶋さんのジュエリー製作の根底には、長く愛されるジュエリーの持つ魅力を多くの人に伝えたいという想いがありました。GOMAJIMAのジュエリーは身につける人に輝きだけでなく、ぬくもりや歴史といった奥深い喜びを与えてくれ、それを次世代へ引き継ぐことの意味にも気づかせてくれる魔法のようなアイテムだと感じました。

『GOMAJIMA』についてはこちら

▼ホームページ

https://www.gomajima.com/

▼Instagram

https://www.instagram.com/gomajima_jewelry/

▼YouTube

https://www.youtube.com/channel/UCYwZKKSrLJSQLiQzw6Gdaw

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