地域を盛り上げるバンドマンの正体は、世界の建築を支える製造現場のリーダーだった!

レッド

written by 川西里奈

交流型直売施設あかねてらすのステージでミカワヤブラザーズというバンドのベースを担当していた松下さん。普段は住友金属鉱山シポレックスの工場で、工場長をされているそうです。

那珂川町で40年以上続くその工場はいったいどんなところなのか。ミカワヤブラザーズ結成の背景についても教えていただきました!

松下文明(まつしたふみあき)

住友金属鉱山シポレックス株式会社 栃木工場 工場長 兼 総務課長

那珂川町から世界へ向けたものづくり

__松下さん、あかねてらすでライブをされていたときと全然印象が違いますね。普段はどのようなお仕事をされているのですか?

 

松下文明さん(以下、松下):住友金属鉱山シポレックスの栃木工場で工場長をしています。私はこちらで3年前から勤務していて、マネジメントをしたり生産性の向上のための業務の改善などをしています。

 

かなり大きな工場ですよね。どういったものを製造しているのでしょう?

 

松下:この栃木工場は1980年に設立し現在179名が在籍しています。製造しているシポレックスという軽量気泡コンクリートの建材は、軽量で断熱性や耐火性に優れており、スウェーデンでは80年以上前から普及しています。

日本においては50年以上前に当社が初めて技術導入をしました。シポレックスは世界中のビルや倉庫、工場や住宅などの建築物の外壁、屋根、床に使われていて建築業界に欠かせない建築材料です。

 

__職場としての魅力はどんなところでしょう?

 

松下:IT業界のように突然劇的な変化があるわけではなく、安定的に需要のある業界ですので安心して働ける点は魅力だと思います。その反面、積極的に課題を見つけて解決するという機会が少ないところは課題と捉えています。マーケットは東京を中心とした全国区ですので、競争心や上昇志向の意識を持って働けるような空気を私たちが作っていかなくてはと思っています。

職場の雰囲気としては穏やかで和気あいあいと楽しく仕事をしている人が多いです。チームでの動きが大事ですので、団結力もある職場です。

みんながそれぞれの工程で作業し情報共有をしてひとつのものを作っていくという現場なので、コミュニケーションを取ることや情報の伝達がきちんとできれば、特別な技術や能力がなくても活躍することができます。

 

▲那珂川町にある住友金属鉱山シポレックスの栃木工場。

チームだからこそ味わえる達成感のある仕事

__地元出身の若い方もたくさん働いているそうですね。

 

松下:職員の半分が那珂川町在住です。那珂川町は若い人の人口がかなり少なくなっているので、この工場を維持するためにも、町にもっと生産年齢人口が増えてほしいという思いがありますね。

 

毎年インターンシップも受け入れています。1週間程度実際にラインの作業へ入って仕事を体験してもらい、実際に入社までつながるケースもあります。新入社員は毎年3〜5人くらい採用しており離職率は低いです。

 

__仕事のやりがいはどんなところでしょうか?

 

松下:新たなプロジェクトに向けて大きな設備を立ち上げたり、みんなで協力して目標を達成したときは、とてもやりがいを感じられると思います。

 

何か新しいことに取り組んだときは班ごとに会社の中で発表する場面などもあり、小さなことでもみんなで共有していくようにしています。

 

ここ最近は技術が発達して、パソコンやタブレットでどこでもひとりで仕事ができますよね。もちろんそれはそれで楽しいと思いますが、日々いっしょに体を動かして、お互いのことを信頼し、切磋琢磨してものを作るという楽しさは組織で働いているから味わえるものだと思います。

 

__チームで味わう達成感は何にも代えがたいものですね。

 

松下:私自身もそこに楽しさを感じていますし、これからもスタッフ同士が仲良く楽しんで働ける雰囲気を作っていきたいですね。

 

趣味の活動が日々の活力に

__松下さん、ご出身はどちらなのですか?

 

松下:出身は兵庫県の姫路市です。学生時代は東京にいて、住友金属鉱山株式会社に就職しました。その後、住友金属鉱山シポレックス株式会社の横浜市の工場に5年くらいいましたが、結婚するタイミングで三重県の工場に転勤になりました。それが1999年でしたので、そこから20年くらいは三重県にいましたね。

 

__長いですね!ということは那珂川町へ来たのはまだ数年前なのですか?

 

松下:2018年に那珂川町の工場に転勤になりました。その後2年くらいは単身赴任生活で、一昨年の4月に家族もこちらへ引っ越してきました。2年間の単身赴任生活中は、土日にこの辺をうろうろしたり、2、3週間に1回は三重県に帰ったりしていました。

 

__那珂川町へ来てからは、どうやって地域とのつながりを広げていったのですか?

 

松下:趣味をベースに友達が増えていきました。休日は棚田オーナー制度やバンドやバドミントンなどの活動をしています。

 一番好きなのはやっぱり音楽なので、この辺で音楽好きな人はいないかなあと思って、まずは喫茶店へ行ってみたんです。谷田便利軒という喫茶店なのですがご主人が音楽好きで、ギターを弾くって言うんで、私もやるんですよって話をしていたら「道の駅でミニコンサートをやるから松下さんギター持ってきて」って言われて(笑)。そこでちょこっと演奏したのを覚えてます。それがきっかけでそのあと3、4回やりましたね。

 

__喫茶店にはいろんな出会いがあるんですね!

 

松下:町内にあるショッピングセンターに衣料品を扱う三河屋さんがあるんですけど、音楽コーナーは見てなかったんですよ。でも店主の金子さんも音楽をやるって情報が入って、店に置いてあるCDを見てみたら、趣味が合いそうで話をするようになりました。ギターとドラム2人でやっていると言うので、じゃあやったことないけどベースが1本あるから私がやると言って、今にいたる感じですね。

 

▲ミカワヤブラザーズとして地域のイベントに出場する松下さん(左)。

 

__そうしてミカワヤブラザーズが結成されたのですね!

 

松下:三重県に転勤になった当時も、やっぱり初めはカフェで音楽つながりの友達ができて。そのときからやっているブルースバンドはもう15、6年続いています。

 

__私生活を楽しむことは、仕事にも良い影響を与えるのでしょうか?

 

松下:そうやってバランスをうまく取っているのかなと思います。昔は仕事が大変で家の中でしかめっ面をしていて、あとから家族に言われて反省したりすることもありました。

私は元々遊ぶのが好きな人間です。仕事は仕事で一生懸命やるのはもちろんですが、そのメリハリは、趣味を通じた仲間と好きなことをやっているから得られるのかもしれませんね。

取材を終えて

サングラス姿でベースを弾くクールな姿が印象的だった松下さん。普段は世界を相手にした建材工場でリーダーとしてスタッフをまとめ上げています。地域の仲間とのつながりや趣味に没頭する時間があることは、責任ある仕事をまっとうする上での大事な活力となるのだと感じました。

 

▼住友金属鉱山シポレックスについてはこちら!

https://www.sumitomo-siporex.co.jp/

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