新たな市場を開拓するためのプラットフォーム計画とは。エムシーサービス社長の構想を紐解く

レッド

written by 五十嵐清美

医療機器の修理を専業とするエムシーサービス株式会社。1976年4月に設立して以来、全国の医療機関のほか、医療機器メーカー、医療機器販売会社へワンストップメンテナンスを提供しています。2015年にはエア・ウォーターグループと資本提携し、医療関連事業の一角として更なる医療サービスの充実を目指して支援範囲を一層拡大してきました。

今回は、そんなエムシーサービスの代表取締役社長の長川原龍二(ながかわら りゅうじ)さんに取材しました。同社一筋で38年。高卒で入社して以降、努力を重ね社長にまで昇りつめた長川原さん。

なぜ1社でそこまで頑張り続けられたのか、エムシーサービスを今後どのような会社にしていきたいと思っているのか聞きました。

代表取締役社長 長川原 龍二(ながかわら りゅうじ)さん

代表取締役社長 長川原 龍二(ながかわら りゅうじ)さん

2019年にエムシーサービス株式会社 代表取締役に就任。 入社38年間の勤続年数の中で受け継いだ同社に根付く精神を後世に伝え続けている。ユーモア溢れる話術と自身の現場経験を活かした戦略で顧客に支持され続けるエムシーサービスを築いている。

エムシーサービス一筋38年。サービスエンジニアから社長へ

 

――まずは社長のご経歴からお聞かせください。

私は地元の県立高校を卒業して、1985年にこちらのMCサービスの前進の会社、中身は一緒なんですが、その会社に高卒で入社しました。今年で勤続38年になります。自負しているところは、長く勤めて、いわば会社という組織の中ではトップになれたことです。

これもひとえに“おかげさま”ですね。多くの人との出会い、ときにはお客さまにも色々教えていただき、今日のこの日を迎えています。社長となった今も、皆さまに教えていただくことばかりです。

私は18歳で入社し、まずは長野県の北と東のエリアを担当するサービスマンとして4年ほど勤めています。その後は部品を扱う業務課という部署に配属され、そこにある部品の情報や製品の不具合状況を調べる調査室を社内で立ち上げました。調査室のスタッフとしてしばらくの間活動をし、その後上司から「多くのサービスエンジニアの面倒を見てみないか」と声をかけていただき部長となりました。

こうして、皆さまに育てていただきながら職位を上げていき、2019年6月エムシーサービス4代目の代表取締役として就任したという流れです。弊社は医療機器の修理を専業とする会社として設立し、今年(取材:2023年11月)に設立47年を迎えました。

 

――社長に選ばれた時の心境をお聞かせください。

選ばれた時は「もうやるしかない」という気持ちです。私が継承することで、この会社の風土や事業を次の世代へとつなぐという責務を感じました。

 

――38年間続けてこられた理由は何だと思いますか。

一つはやはりお客さまに直接「ありがとう」と言っていただけることです。非常にシンプルなのですが、サービスエンジニアをしていた私にとってこれが支えでした。

あと、私は何もわからない二十歳そこそこの駆け出しの頃から、出社する楽しさを感じていたんです。漠然とした幸せや安心と言いますか、とにかく会社に行けばこれから先もなんとかなる、この仕事していればなんとかなる、という気持ちがありました。「働けば給料がもらえる」というのも、当時の私には大きなことだったのだと思います。

 

――長く勤められてきた歴史のなかで、会社として大きく変わったことや反対に変わらないと感じることなどはありましたか。

大きな転換点は2015年にエア・ウォーターグループと資本提携をしたことですね。そのなかで大きく変わったのは強力なバックアップを得たこと、反対に変わらなかったのは弊社がずっと大事にしてきた全員経営の思想です。

提携をして今年で8年目になるのですが、提携する前は全国のサービスセンターは15ヶ所だったところ、今では26ヶ所にまで増えました。加えて、グループ会社が非常に多く、傘下の会社は200社ほどで従業員は2万名強います。グループ会社との連携が増えたことでメンテナンスの領域も広まりました。直近の事業年度で言いますと、グループに入る前の売上と比較すると1.7倍にもなっています。

あと、営業的な側面でもエア・ウォーターグループの知名度によって優位性を得たと感じています。我々のような小さな会社ですと、いろんな医療機械メーカーと対峙していくなかで、知名度がなく苦戦をすることもありました。しかし、バックグラウンドがしっかりできたことで、かなり優位性を示せるようになったと感じています。

そんななかで、先代の経営者がずっと誓ってきた「全員経営」の思想は変わらずに受け継がれています。小さなサービスセンターが多い弊社では、規模の大きなメンテナンス案件を受けることは本来難しいんです。ですが、各サービスセンター同士が自分たちで考え、人を出し合って大きな案件に着手してくれています。

 

目指すは脱メンテナンス専業。新しい市場をつくるプラットフォーマーになる

 

――エムシーサービスをどんな会社にしたいとお考えでしょうか。

医療機械の業界は多岐に渡るのですが、そのなかでも私たちは感染防止機器、滅菌機や洗浄機などを扱う企業です。こうした機器を中心にメンテナンス活動をしているのですが、このメンテナンス領域を他領域に広げていきたいと考えております。多くの医療機械に対して、私たちのメンテナンスリソースを提供できるようにしたいのです。

まず直近の目標としては、2025年までに滅菌機・洗浄機メーカーに対してメンテナンスリソースを提供するメンテナンスプラットフォームを構築したいと考えております。こうすることで、なかなか機械を増設できなかったお客さまや、新しい機械を使ってみたいがメンテナンスが心配で購入できないお客さまの課題を、私たちが介在することで解消できるのではないかと。まずは弊社の専門領域から土台を固めます。

そして2030年中には感染防止領域だけではなく、画像診断機器や歯科領域、生態現象を調べる機器など、よりこの高度で付加価値の高い領域にも拡大する。そのときには、プラットフォームとして提供する価値はメンテナンスだけではなく、販売ルートの提案や機器開発の支援など、多機能なプラットフォームを作っていきたいと考えています。この頃には、サービスエンジニアを100名体制、売上規模は30億を越えるような会社にしたいですね。

 

――とても夢のある話だと思います。自らがマーケットを作る側になっていくということですよね。

そうですね。単純にお客さまからメンテナンスの依頼を受けて迅速にかけつけて直す。そこで感謝の言葉をいただき、完結するのも立派な仕事です。

ですがもう皆さんもご存知のように、医療費も国の政策で抑制傾向にありますし、近所にあった大きな病院が少なくなり、循環器系や脳外科など機能が別れて特化された病院に変わっています。分化されていくなかで、病院の数が減ったと感じていらっしゃるのではないでしょうか。

設備機を入れる病院が少なくなれば、機器も売れにくくなっていきます。そうなってくると、ビジネスの中心になってくるのは使われている機器のメンテナンスです。ですが他社も同じことを考えているので、単純に修理をするというだけでは存在感を示せません。非常に厳しい競争となるため、領域を広げたプラットフォームを作り多様な役割を増やしていこうという考えです。

プラットフォームを活用すれば、メンテナンスで悩まない、使いたい医療機器が使えるなど、包括的に価値を提供できる。そんなサービスへと進化させていくのが狙いです。

 

――そうした未来を実現させるために、課題となるのはどういったことでしょうか。

メンテナンスの肝となるエンジニアのみなさんが、この仕事に面白みややりがいを感じてもらえるようにできるかどうかですね。

メンテナンスプラットフォームの構想において、ゆくゆくはメーカーを問わないとお話しましたが、そうすると対応する種類が多くなりすぎてしまい、エンジニアの知識が広く浅くなってしまう懸念があります。一つの製品に対してコアな技術やノウハウに迫れればいいのですが、そこはやはりメーカーにとってはブラックボックスであって、ノウハウの中枢部分は社外秘が多いからです。

エンジニアの気質としては、やはり深く専門性をもっと高めたいと思うわけですが、広く浅くというところが表面に出てしまってはエンジニアの欲求は満たせません。そこを解消するためには、例えば「あなたはこの3社、あなたはこの5社」という形にし、専門特化の仕組みを構築するなどの対応が必要だと考えています。

専門特化の仕組みが構築できれば、メンテナンスにとどまらず新しい機器やサービスの開発に携わっていくこともできるかもしれません。各メーカーさんとしても、私たちが持つ市場や現場のリアルなニーズや情報が得られることは大きなメリットになりますし、自社製品の開発には大きく貢献できると思っています。こういった仕事の面白みや可能性をもっと強め、そしてわかりやすく伝えていけるかが大きな課題ですね。

 

代々受け継いだ全員経営の思想

 

――ご自身の人生で叶えたい夢はありますか。

私が感じていたように、この会社に勤めていればなんとかなる、そういった安心感や幸福感を、従業員が持てる会社にしたいですね。漠然としているのですが、やはり従業員一人ひとりが仕事を通してともに充実感を持てる、自分自身の存在価値を感じられる、そういった会社にするのが私の夢の一つです。

あと、本当に個人的なものですと、決して贅沢は求めないので妻や家族との暮らしをもっと豊かにすることでしょうか。物ではなく幸せの質を高めていく、そんな暮らしを実現したいと思っています。そういったなかで、私はアウトドアや車いじりが好きなものですから、自由な空間として仲間が集える自分のガレージみたいなものが持てればいいなと。月並みではありますが、そんな生活を夢見ています。

 

――社長自身が働く上で大事にしていること、信念、心ざしはありますか。

先程も少し話しましたが、先代の社長、またその前の社長からも受け継いでいる「全員経営」がキーワードになります。社員一人ひとりが経営者であってほしいという願いもですが、個々が自発性を高め、自己管理をして社員が主役であり続ける会社にしたいと考えています。

そのためには、一人ひとりの社員に経営情報をきちんと提供し、同じ目的意識を共有したうえで権限を移譲して任せることが重要です。とはいえ、できている場面もあればそうでない場面も多く、言うは易し行うは難しというところであります。

 

――全員経営が浸透していると感じる場面があればお伺いしたいです。

私たちは全国展開しているのですが、サービスセンターによっては1人や2人しかいないという現場は少なくありません。上司の目が届かない環境ですが、そんななかでもお客さまの要求に真摯に答え、妥協せずに仕事と向き合ってくれていると知ると、考え方が浸透しているように思います。

それを特に感じたのはコロナ禍ですね。医療現場ということで非常に感染リスクが高い現場で、指示も通りにくかったり、会議体も少なくなってしまいリモートも使い始めでなかなか意思疎通もうまくいかなかったりしていました。

それでもお客さまの要望に正面から真摯に向き合い、一つひとつのサービスをきちんと提供してくれました。感謝をするとともに、全員経営の理念が浸透しているのだと強く感じましたね。

 

メンテナンスの力で医療機関を支える。その志をもって選ばれる企業になる

 

――この記事を読む求職者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

私たちはメンテナンスサービスの提供者として、お客さまの要望に真摯に向き合い、お客さまの目線で問題解決に挑む。これを仕事の基本とし、これからも変わらずにそうあり続けます。決して自分たちだけの利益や価値だけに目を向けず、関わったお客さまの成長や企業価値まで上げることを考えてご提案することで、信頼され選ばれる会社になっていきたいと考えています。

社是として掲げた「不屈」「成長」「敬愛」を胸に、お客さまの成長を支えることを喜びとして、また会社の発展に貢献しながら、企業として医療を支えることで社会貢献する責任を果たす。

弊社に興味を持ち、ここで働くことにやりがいを感じられそうだと思っていただける方には、ぜひ私たちの一員になっていただきたいですね。

 

エムシーサービス株式会社について

・ホームページ:https://www.mcservice-osm.co.jp/

・採用情報:https://hr-hacker.com/mcservice2730720/job-offers

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